平成31年度施政方針
平成31年第1回志木市議会定例会の開会にあたり、私の平成31年度の施政方針を表明させていただきました。
「平成」が新元号へと変わりゆく時代の大きな転換期に、本市もまた、市制施行から半世紀となる大きな変革の時を迎えます。
本年は、十二支で最後にあたる亥(い)年(どし)でもあり、これまで培ってきた土壌の上に、次の成長に向けた布石を打つ基礎固めの年でもあります。
これまでも幾多の変遷を遂げてきた志木市が、この変革の扉の先にある夢や希望にあふれた輝かしい未来に向かって、今まさに、変わろうとしています。
47年間にわたり、この街の発展を支えてきた市庁舎につきましては、新市庁舎建設に向けた解体作業に備え、志木駅東口周辺のテナントビル等に市役所の機能移転を行ってまいります。
市の中心に位置し、今後のまちづくりの基盤となる市役所を、多くの市民が集い、親しまれる拠点とするため、豊かな自然を誇るいろは親水公園との一体感が感じられる空間づくりを見据えながら、着実に事業を進めてまいります。
さらに、来年10月には市制施行50周年という大きな節目を迎えることから、これまで先人たちが紡(つむ)いでこられた歴史を胸に、この記念すべき時を総勢7万6千の市民の皆様と共に祝い、本市がさらなる飛躍と発展を遂げる確かな礎を築くため、魅力ある周年事業の実施に向けてしっかりと準備を進めてまいります。
加えて、2020年に新学習指導要領が全面実施となる学校教育の現場では、平成14年度に全国に先駆けて導入した「少人数学級編制制度」も、制度発足から16年が経過し、時代の流れとともに子どもたちを取り巻く環境が大きく変化している現状を踏まえ、未来を担う志木っ子たちの一人ひとりの個性を生かし、主体的に物事を考え、未来をたくましく生き抜く力を育成するため、時代に即した新たな指導体制へと発展させてまいります。
平成31年度をもって、新たなまちづくりのステージにおける重点的な取組事項を掲げた「まちづくり新35の実行計画」も3年目を迎えます。
すでに目標を達成した取組については、より一層の充実を図るとともに、現在、進行中の取組については、早期実現となるよう、スピード感を持って着実に実行することにより、人口を減らさない、税収も減らさない、そして市民の笑顔も絶やさないまちづくりを目指し、志木市将来ビジョンで掲げる「市民力でつくる未来へ続くふるさと 志木市」の実現に向け、4つの戦略を軸に着実な取組を進めてまいります。
まず一つ目として、本市の宝である元気な市民力を今後も発揮していただくことができるよう、市民の皆様の健康づくりを応援してまいります。
具体的には、子どもの健康づくりに関する新たな取組として「志木っ子元気!子どもの健康づくりプロジェクト」を立ち上げ、子どもたちの健全な身体の育成と、正しい生活習慣の定着を目指してまいります。
特に、体力を支える足の基礎づくりは、小学校期が重要な時期であることから、小学生を対象に子ども一人ひとりが抱える足の現状や課題に対し、日常的なセルフケアの方法などのアドバイスを行う足部機能・骨格発達支援事業を実施するなど、子どもの足の機能と骨格の健全な発達につなげてまいります。
また、誰もが健康でいきいきと暮らせるまちの実現に向けた取組につきましては、新たに民間企業との共同研究による食育推進事業を実施してまいります。本事業では、市民が主体となって地域の方々が食事を共にする共食の場を創出するため、食の担い手となる市民サポーターを養成することにより、自立した地域食育活動の展開を推進し、子どもや高齢者の孤食の防止をはじめ、食生活の改善にもつなげてまいります。
一方、本市のスポーツ振興の拠点である市民体育館につきましては、本年4月より、総合スポーツメーカーであるミズノグループが、新たな指定管理者として本施設の運営を担うこととなりました。これを契機に、子どもから高齢者まで幅広い世代を対象とした多種多様なスポーツプログラムの実施や利用促進に向けた新たなサービスの開始など、さらなる市民サービスの向上につながる事業展開を図ってまいります。
次に、二つ目として、子どもが元気で心豊かに成長でき、子育て世代が安心して子どもを生み育てられる環境の充実に努めてまいります。
具体的には、本年10月より開始される幼児教育の無償化などに伴い、今後も増加が予想される保育ニーズに応えるため、引き続き保育定員を拡充してまいります。
平成31年度は、施設の老朽化が進む館保育園を本年3月をもって民間事業者へ引き継ぎ、2020年度のリニューアルオープンに向けて、施設の大規模改修工事を実施するなど、新たに民間の認可保育園を3園整備することで、保育の定員を1,758人にまで拡大してまいります。
すべての就学児童が放課後などを安全・安心に過ごし、多様な体験・活動を行うことができる「放課後志木っ子タイム」につきましては、平成30年度に初めて導入した宗岡第四小学校に加えて、新たに志木地区の3つの小学校と宗岡地区の2つの小学校へ拡大するとともに、放課後以外の春休みや夏休み、冬休みにも実施することで、児童の安全・安心な居場所づくりにつなげてまいります。
平成14年度より開始した「少人数学級編制制度」につきましては、制度開始当初は20倍を超える応募があったハタザクラ教員も近年では応募が激減し、採用確保が困難となってきたことに加え、保護者からはハタザクラ教員の指導力に対する不安の声も上がり、事実、豊富な経験ときめ細かな指導力が求められるクラス担任を続けていくことが難しく早期辞職した事例も発生するなど、課題が顕在化してきたところであります。
こうしたことから、これらの課題を解決し、時代に見合った指導体制を構築するため、これまでの「少人数学級編制制度」を改め、小学校1年生から4年生までの学年を対象とした「複数・少人数指導体制制度~スマート・クラス~」を導入してまいります。
これにより、すべての小学校に学級担任と共にきめ細かな指導を行う教員が配置されることとなり、その中でも、学習のつまずきが現れ始める小学校3年生と4年生の学級へは、学力向上のノウハウを有する民間の塾講師を教員として配置することで、習熟度別学習やティームティーチングなど、子どもたちの状況に合わせた柔軟な授業形態を可能とする制度へとステップアップさせてまいります。
加えて、保護者や地域・学校関係者により構成されるコミュニティ・スクールにつきましては、平成29年度より制度を導入した宗岡第二中学校区において、活発な意見交換がなされ、結果として地震災害を想定した3校合同による避難訓練が実施されるなど、非常に有益な成果が挙げられたところであります。
今後も学校が抱える課題の解決に向けて、地域との連携による取組をより一層推進するため、平成31年度はコミュニティ・スクールを市内全小・中学校へと拡大してまいります。
次に、三つ目として、あらゆる犯罪や災害に備えながら、市民の皆様が安心して暮らすことができるまちを目指してまいります。
具体的には、「犯罪に強いまち志木」のスローガンのもと、市内全域に防犯カメラをおよそ120か所設置してまいります。
制度の運用にあたっては、プライバシー保護についても十分に配慮しながら、町内会や商店会、警察等と連携し、犯罪発生時の早期解決や犯罪抑止につなげてまいります。
また、昨今、全国各地で地震が相次ぎ、震災への備えの必要性が高まる中、本市でも全8小学校を訓練会場に、市を挙げて取り組む4年に1回の市民総合防災訓練を9月28日に実施してまいります。
今回の訓練では、首都直下型地震の発生時を想定し、有事の際の救援者として地域の力となる中学生にも参加を呼び掛けるとともに、新たな試みとして、それぞれの訓練会場において、参加者が一斉に自身の身を守る行動を行うシェイクアウト訓練を導入するほか、詳細な訓練内容を地域の皆様と共に検討し、その地域の実情に合わせた、より実践的な訓練を実施することで、いざという時の自助や共助による防災意識の醸成と、地域の自主防災組織の連携強化に努めてまいります。
さらに、災害時における体育館の避難所機能の強化と記録的猛暑をはじめとする異常気象から子どもたちの健康を守るため、市内全小・中学校の体育館に空調設備の設置に向けた設計を開始するほか、消防団による消防・防災活動の強化を図るため、現在、第5分団と共同で使用している第4分団車庫を新たに担当エリア内に単独で建設するなど、災害時の備えに万全を期してまいります。
最後に、四つ目として、本市の地域資源を活用し、これまで以上のにぎわいを創出するとともに、その魅力を全国に発信してまいります。
具体的には、本市の玄関口である志木駅東口エリアといろは親水公園エリアにおけるにぎわいづくりを民間との連携により、推進してまいります。
まず、志木駅東口エリアにつきましては、駅前周辺で事業を展開する事業者などを対象に、自らの力で地域の価値を高め、持続可能なまちづくりを推進するための「にぎわいづくりプレイヤー育成ワークショップ」を開催してまいります。本取組の中では、志木駅東口ペデストリアンデッキを舞台とした、にぎわい創出事業の企画立案も行われることとなっており、実効性が高いと評価された事業については試験的に社会実験等を実施するなど、志木駅東口エリアのにぎわい創出につなげてまいります。
加えて、ペデストリアンデッキを活用したアートによるまちづくりにつきましては、ゆるキャラ®グランプリ2018において優勝という快挙を成し遂げた、本市の広報大使であるカパルをモチーフとしたトリックアートも完成したところであります。
この取組を足掛かりに、アート事業をさらに拡張し、駅から駅前商業施設や商店街へと続く人の流れを創出してまいります。
次に、いろは親水公園エリアにつきましては、当該公園のもつポテンシャルをより一層生かすアイデアを民間事業者などから募集する「サウンディング型市場調査」を実施するとともに、新たな整備や管理方針を検討し、公園の魅力アップにつなげてまいります。
整備にあたっては、いろは親水公園の自然豊かな景色を楽しみながらひと休みしていただくことができるカフェの設置や、子どもたちが楽しく外遊びができるアスレチック遊具の設置など、公園の魅力を高める方法を検討し、多世代が集える憩いの場の創造を目指してまいります。
また、平成29年度より県が進めている「川の国埼玉はつらつプロジェクト」では、船着場や流れ橋の新設工事が実施されることに加え、コミュニティ協議会の皆様には引き続き、公園内を四季折々の花で美しく彩る植栽活動などにご協力をいただきながら、市民協働によるいろは親水公園のにぎわい創出を図ってまいります。
さらに、平成28年度の田子山富士保存整備の完了以来、入山者数が2万人を超えた田子山富士塚につきましては、この貴重な文化財を後世に継承するとともに、市民のふるさと意識の高揚を図るため、国指定重要有形民俗文化財への指定に向け、田子山富士保存会をはじめとする関係機関との連携を密に図りながら、市民共有の財産としてこれからも愛され続けるよう、適切な保存と一層の活用に努めてまいります。
以上、これら市政運営に関する基本的な考え方について、4つの戦略プロジェクトに基づく主要施策の一端を申し述べさせていただきました。
少子高齢化が進展し、地方自治体を取り巻く環境が大きく変化する中にあっても、常に時代の潮流と地域の皆様のニーズを的確に捉え、7万6千の市民の皆様の笑顔のため、しっかりと将来を見据え、数々の行政課題に積極果敢に取り組むとともに、次の50年、その先の100年を展望し、志木市の質と価値を高める市政運営に邁進してまいります。
次に、本市を取り巻く財政環境につきまして申し上げます。
まず、歳入面では、平成30年度に引き続き、人口増に伴う個人市民税納税義務者数の増などにより、市税収入の増加を見込んでおります。
国の平成31年度地方財政対策によりますと、景気回復等により地方税や地方譲与税などが増収となる中で、一般財源総額については、社会保障の充実分のほか、人づくり革命に盛り込まれた幼児教育の無償化等にかかる事業費や防災・減災対策等に関する事業費の財源が確保されたことなどにより、前年度を上回る額となっております。
また、地方交付税の原資となる国税の増収により、地方交付税が7年ぶりの増加に転じたことなど、地方の財源不足が縮小されることとなった一方で、臨時財政対策債は2年連続で減少となった結果、地方交付税及び臨時財政対策債の総額は、対前年度比で0.6兆円の減となるなど、一般財源の一部については減少が見込まれることから、引き続き慎重にその動向を見極めていかなければならない状況にあると考えております。
歳出面では、幼児教育の無償化の実施などにより、さらなる高まりが予想される保育需要に対応するための保育関係経費や、超高齢社会の進展に伴う医療・介護関係経費など、社会保障費の伸びは増加の一途をたどっている状況にあります。
さらに、新市庁舎の建設にかかる事業費のほか、老朽化が進む公共施設や道路・上下水道などのインフラ施設の更新・維持補修経費についても多大な財政負担が見込まれており、今後の財政運営における大きな課題となっているところであります。
このような財政環境の中、平成31年度の予算編成にあたりましては、これらの課題に対処するため、
「志木市の将来を見据えた『まちづくり新35の実行計画』を、スピード感をもって着実に実行するための予算を計上すること」、
「志木市新行政改革プランにおける『事務事業の見直し』の検証結果に基づき、必要な見直しを行うとともに、予算の要求にあたっては精度の高い見積りを行い、必要最小限の予算を計上すること」、
「国・県等の補助金を積極的に活用するなど、一般財源の持ち出しを縮小すること」、
「サマーレビュー及び事業判定会の結果や職員提案制度による提案を踏まえた予算とすること」、
「志木市将来ビジョンにて掲げるまちの将来像の実現に向け、志木市戦略プロジェクトを具現化する事業を計上すること」
の5点を基本的な考え方とし、効果的な財源の配分に努めたところであります。
この結果、平成31年度の予算案の規模は、
となりました。
一般会計については、民生費が対前年度比でおよそ4億2,000万円の増額となったことなどに伴い、予算総額は、対前年度比でおよそ9億4,000万円の増額となりました。
歳入面では、歳入の根幹を成す市税の予算額は対前年度比0.9%の増、総額でおよそ108億5,900万円を見込んでおります。
個人市民税では、本市の人口は増加傾向を維持していることから、納税義務者を700人程度の増、およそ39,100人と見込むとともに、景気回復基調の持続が期待される中で雇用・所得環境の改善を背景に個人所得が緩やかに増加することにより、対前年度比0.6%の増、51億9,409万8千円と見込んでおります。
法人市民税は、緩やかな景気回復が続き、個人消費の持ち直しによる市内法人の収益改善を見込む一方で、昨今の諸外国による輸入関税強化が経済に与える影響に留意する必要があることから、対前年度比0.5%の増とし、4億5,608万3千円と見込んでおります。
固定資産税は、志木地区を中心に地価が上昇に転じたものの、土地は住宅用地の課税標準の特例の適用によりほぼ横ばい、家屋は評価の据置年度であるため新・増築分を増とし、対前年度比1.3%の増、41億5,493万6千円と見込んでおります。
普通交付税は、国の平成31年度地方財政対策において地方交付税総額が7年ぶりの増加に転じることから、対前年度比4.5%の増、11億5,000万円と見込んでおります。
国庫支出金は、新たな民間の認可保育園の整備に伴う保育所等整備交付金の増などにより、対前年度比1.6%の増、41億2,713万3千円と見込んでおります。
市債は、宗岡第四小学校校舎増築工事にかかる市債が減となったことや、国の平成31年度地方財政対策において、臨時財政対策債が減となることなどにより、対前年度比15.4%の減、15億3,430万円と見込んでおります。
繰入金は、財政調整基金からの繰入を17億6,585万6千円とするとともに、現市庁舎の解体費用などの財源として、公共施設安心安全化基金からの繰入を5億5,696万1千円とし、全体として対前年度比37.3%の増、23億5,139万7千円と見込んでおります。
これによりまして、平成31年度当初予算取崩し後の財政調整基金残高は、およそ9億6,000万円と見込んでおります。
歳出面につきましては、志木市将来ビジョンで掲げたまちの将来像の実現を目指し、施策の大綱に沿って、平成31年度に推進する主な施策につきましてご説明申し上げます。
高齢者施策につきましては、高齢者の皆様がいつまでも健康で地域活動の中心を担っていただけるよう、フレイルに着目した介護予防事業を展開してまいります。
フレイルとは、健康と要介護状態の中間にあたる心身ともに虚弱な状態のことを指す言葉であり、多くの方が健康な状態からフレイル段階を経て、要介護状態になるとも言われております。しかしながら、フレイル状態にある高齢者であっても、適切な介入や支援を行うことで、フレイルの進行の抑制や健康な状態への改善が期待できることから、今後については、フレイル予防の一助を担ういろは百歳体操の普及に加え、新たに高齢者の通いの場において、保健師や管理栄養士、歯科衛生士などの専門職による講話を通じた啓発や相談を実施するなど、フレイル予防につながる介護予防事業の充実を図ってまいります。
次に、子育て家庭への支援策につきましては、本町地区に開設している子育て家庭の交流拠点である子育て支援センター「ぷちまある」の開所日数を週3日から週5日に拡大し、育児に関する相談体制を充実させてまいります。
また、本市の子育て施策の主軸となる「志木市子ども・子育て支援事業計画」の計画期間が平成31年度に最終年度を迎えることから、これまで進めてきた子育て施策の成果などを踏まえ「第2期志木市子ども・子育て支援事業計画」を策定してまいります。
策定にあたっては、昨今の子育てニーズやトレンドを反映するとともに、幼児期の教育・保育の量や提供体制について、需要と供給のバランスを見極めた事業計画とすることで、地域の実情に合った子育てしやすい環境を整備してまいります。
次に、学校教育の充実につきましては、2020年度からスタートする新学習指導要領においてプログラミング教育が必修となることから、児童の論理的思考力を育成するため、プログラミング的思考をゲーム感覚で視覚的に学ぶことができる専用ソフト等のプログラミング教材を先行的に導入するとともに、ICT教育をより一層推進するため、子どもたちの学習意欲を高める効果が期待できる大型電子黒板を小・中学校2校へ試験的に設置するなど、より見やすく・わかりやすく・楽しい学びを提供してまいります。
また、小学校における子どもたちの英語コミュニケーション能力の向上を図ることを目的に、学級担任及びALTと共に学習指導を行う専科教員を配置するほか、中学校では英検取得対策講座を夏休みに加えて冬休みにも実施するなど、グローバル社会に生きる世界に通用する志木っ子を育成してまいります。
さらに、小中一貫教育の推進については、学習内容の高度化・専門化が進む小学校高学年を対象に、中学校の教員が授業を行う乗り入れ授業の実施を通じて、教科担任による指導体制の研究を進めるとともに、小・中学校9か年を見通したカリキュラムの作成を進めることで、小中連携の強化や学びの円滑な接続につなげてまいります。
平成31年度は、これらの事業をはじめ、複数・少人数指導体制制度の導入や新学習指導要領の全面実施にかかる対応など、子どもたちを取り巻く教育環境が大きく変化する年となります。
本市といたしましては、時代の変化に応じた教育改革を進めるだけでなく「これからの時代をつくる」、そのような子どもたちの育成につながる義務教育課程を構築し、子どもたちの「主体的・対話的で深い学び」につなげてまいります。
また、学校生活や家庭環境に課題を抱える児童・生徒をはじめ保護者や教員が、いつでも相談できる体制づくりとして、教育相談員を1名増員し、市内すべての中学校に設置している校内相談室の開室日数を週4日から週5日に拡大することで、学校における相談体制を強化し不登校の解消などにつなげてまいります。加えて、特別な配慮を必要とする児童・生徒が安心して学校生活を送れるよう、宗岡第三小学校と宗岡第四小学校に特別支援学級を新設するとともに、各学校の実態に応じて特別支援教育支援員を増員することで、適切な学習支援や学校生活におけるサポート体制を充実させてまいります。
一方、教育環境の整備につきましては、志木第三小学校における体育館の大規模改修工事の実施や、志木第二小学校における体育館の大規模改修工事に向けた設計に着手するほか、台風などの強風により学校敷地内の高木が倒れることによる人的被害や周辺建築物などへの二次災害の発生を防ぐため、高さ10mを超す高木を低木に植え替えるなど、安全な学校環境の整備を進めてまいります。
次に、市民協働によるまちづくりの推進につきましては、来年10月に迎える市制施行50周年を、市民同士の絆が強まり、本市の将来につながる新たな一歩を踏み出す記念すべき年とするため、市制施行50周年記念事業の実施に向けて、しっかりと準備を進めてまいります。
平成31年度は、これまで企画・検討段階であった市制施行50周年記念事業が実施に向けた準備段階にステージを移すことから、より強力な組織体制を築くため、昨年より組織した検討委員会を「市制施行50周年記念事業実行委員会」と改め、記念事業を共に創り上げる実行委員を追加募集してまいります。
また、機運醸成を図る取組として、東京オリンピック・パラリンピックに向けた「beyond(ビヨンド)2020(ニーゼロニーゼロ)プログラム」のロゴマーク制作者である、市内在住の菅原みこさんがデザインされた市制施行50周年記念ロゴマークを活用した情報発信をはじめとするPR活動を行うとともに、新市庁舎建設に伴い解体工事を行う現市庁舎を活用した市制施行50周年記念プレ事業を実施するなど、今しかできない志木市らしい事業を熱意ある実行委員と共に展開してまいります。
健康施策につきましては、減塩をキーワードにした「おいしく減塩!『減らソルト』プロジェクト」における民間企業と連携した取組として、赤ちゃんから高齢者までそれぞれのライフステージに応じた減塩料理教室などを、民間企業が持つ施設やノウハウを生かしながら実施することで、減塩を通じた食育の推進を図ってまいります。
また、新たな歯周疾患対策として、妊娠に伴うホルモンバランスの変化などにより歯周疾患のリスクが高まる妊婦を対象に、歯肉炎等の早期発見や早期治療につなげる妊婦歯科検診を実施してまいります。
さらに、健康寿命の延伸に向けては、定期的な特定健康診査の受診と、その結果に応じた特定保健指導を受けていただき、生活習慣の改善につなげることが大切であることから、2019年度末における特定健診の受診率を現在の40.6%から43%に、特定保健指導の実施率を現在の11.7%から25%に向上させるため、集団健診の受診者に対し健診結果説明や個別相談・特定保健指導などを行う健診結果説明会を実施するなど、特定健康診査の必要性の理解を深め継続受診につなげてまいります。
本市は全国や県に比べて自殺死亡率が高い傾向にある現状を踏まえ、市民の皆様の健康や福祉、介護や子育て等に関する気になることや悩み事について、保健師をはじめとする専門職に誰もが気軽に相談できる「まちなか保健室」を市民会館内に新設し、関係機関及び庁内健康福祉部の横断的な連携を図りながら、一人ひとりの状況に応じた支援を行うことでで、本市の自殺死亡率の減少へとつなげてまいります。
また、市内全中学校の1年生を対象に、生活上の困難やストレスに直面した時の対処の仕方を学ぶ「いのちの支え合いを学ぶ授業」を実施することで、自己肯定感を高め、自分を大切にする心を育んでまいります。
一方、国民健康保険税率の改定に伴う子育て世帯の経済的な負担を軽減する取組につきましては、総所得が300万円以下の世帯を対象に、第2子以降の子どもの人数に応じて「国保多子世帯応援給付金」を支給してまいります。
次に、福祉施策につきましては、成年後見制度のさらなる利用促進と市民後見人の育成を推進するため、後見ネットワークセンターにおける法律専門職及び福祉専門職を増員することで、相談体制を充実させてまいります。
また、本市の地域福祉施策の主軸となる「第3期志木市地域福祉計画」の計画期間が平成31年度に最終年度を迎えることから、これまで進めてきた地域福祉施策の成果などを踏まえ「第4期志木市地域福祉計画」を策定してまいります。
策定にあたっては、「他人事」になりがちな地域づくりを地域の皆様が「我が事」として取り組む仕組みづくりや、さまざまな地域生活課題を「丸ごと」受け止めるための総合相談支援体制の整備などを盛り込んだ計画とすることで、地域共生社会の実現を目指してまいります。
次に、生涯学習施策につきましては、生涯学習拠点の一つである八ケ岳自然の家の活性化と利用促進を図るため、本年4月より株式会社塚原緑地研究所を新たな指定管理者として指定し、自然観察会や星座観察会など八ヶ岳周辺の自然を生かした多彩な事業を展開してまいります。
また、快適に生涯学習活動が行える環境づくりとして、建築から41年が経過し、施設の老朽化が進行している宗岡公民館の大規模改修工事に向けた設計に着手してまいります。
一方、子どもの健やかな成長に向けた家庭教育への支援策につきましては、全国に先駆けて制定した「元気に育つ志木っ子条例」を推進するため、インターネットやカードゲーム等に起因するトラブルについて、新たに乳幼児の保護者に対しても情報モラル講演会を実施するなど、保護者や子どもをはじめとした、市民の皆様に本条例の趣旨を理解していただくための事業を広く展開することで、子どもたちが夢に向かって元気にたくましく成長できる社会を実現してまいります。
産業振興につきましては、市内の生産者が栽培した新鮮で安全・安心な農産物を多くの人に知っていただくため、農業の専門的な知識やノウハウを有するJAあさか野と連携し、志木駅東口ペデストリアンデッキなど人が多く集まる公共的空間を活用して「採れたて!しきの野菜市」を実施してまいります。
また、消費税・地方消費税率の引き上げに伴い、国の臨時的な経済対策として、プレミアム付商品券事業の実施が決定されたことから、本市においても商品券の発行に係る事務を円滑かつ効果的に遂行するため、新たに「プレミアム付商品券事業推進室」を設置してまいります。
商品券の発行にあたっては、地元商工会とも連携を図りながら、使用期間や利用可能店舗など利用しやすい条件を設定することで、低所得者等の負担軽減と地域における消費喚起につなげてまいります。
次に、観光施策につきましては、ゆるキャラ®グランプリ2018において、志木市の名を全国に轟(とどろ)かせた広報大使カパルを通じ、志木市をもっと知りたい、訪れたいと思っていただける取組を進めてまいります。
平成31年度は、志木市のさらなる認知度の向上のため、走る広告塔とも言われる、原動機付自転車のご当地ナンバープレートを交付してまいります。
ナンバープレートの作成にあたっては、愛くるしいカパルをデザインに取り入れることで、カパルの知名度を生かした志木市らしいシティプロモーションにもつなげてまいります。
加えて、さらなる観光客の集客に向けた取組として、市制施行50周年を記念して2020年度の設置に向けたご当地マンホールを作成するとともに、集めて楽しいと話題を呼んでいるマンホールカードのデザインにも取り組んでまいります。ご当地マンホールには、下水道事業のイメージアップのほか、地域の観光を活性化する効果も期待されることから、本市を訪れていただく新たなきっかけとなるよう取組を進めてまいります。
次に、環境保全の取組につきましては、志木市環境審議会や志木市環境市民会議の委員の皆様が互いの経験を生かし、知恵や意見を出し合いながら「第三期志木市環境基本計画」を策定したところであります。
今後は本計画に基づき、市民や事業者、行政の3つが主体となり、それぞれの役割を担いながら相互に連携した施策を展開することで、志木市らしい良好な環境の保全や持続可能な社会の実現を目指してまいります。
安心して暮らせる住環境の整備につきましては、昨今、墓地に対する需要が高まっていることを踏まえ、柏町にある市営墓地を拡張してまいります。
整備にあたっては、近年の家族形態の多様化に伴う新たな墓地のニーズに応えるため、一つのお墓に合同で埋蔵する合葬式墓地も新設することで、長年にわたり本市に愛着を持って住み続けてこられた方が、墓地の継承の不安なく、安心して市内に墓地を持つことができるよう整備を進めてまいります。
一方、一般国道254号和光富士見バイパスにつきましては、国や事業主体である県への積極的な働きかけが実を結び、平成30年度から袋橋通り北側115m区間において、市内では初めてとなる整備工事に着手されることとなったところであります。
今後も1日も早い進捗が図られるよう国や県に対し、道路財源の確保と早期完成を働きかけてまいります。
また、誰もが安心して歩きやすい歩道の整備につきましては、あきはね通りを含む3路線の段差の解消や、十分な幅員の確保などを行うことで歩道の快適化を推進するほか、身近な生活道路の快適化を推進するため、道幅が狭く降水時に雨水がたまりやすい市内の道路における拡幅や道路側溝の設置に向けた設計に着手してまいります。
さらに、安全な橋りょうを確保するための取組につきましては、これまでの道路橋定期点検の結果に基づき「志木市橋梁(りょう)長寿命化修繕計画」を策定することで、橋りょうの安全性を確保するとともに、維持管理コストの縮減と予算の平準化を図ってまいります。
次に、水害対策につきましては、ゲリラ豪雨等による道路冠水被害を軽減するため、志木第四小学校に雨水流出対策工事を実施してまいります。
また、大雨や台風が発生した際の排水機能を確保するため、老朽化した谷津地(やつじ)調整池ポンプ場のゲート制御盤改修工事を実施するほか、排水路の機能強化を図るため、赤野毛(あかやけ)排水路の整備を実施してまいります。
次に、下水道事業につきましては、地震災害に備えるため、館第一排水ポンプ場耐震化工事の第2期工事を実施するとともに、志木中継ポンプ場においても、耐震化工事を実施してまいります。
また、不明水の抑制に向けた取組として、汚水管の点検調査結果に基づき、汚水管の補修を適切に行うことで、雨水の侵入を防止してまいります。
さらに、地震によるブロック塀等の倒壊による被害を防止するため、平成31年度も引き続き、危険ブロック塀等の撤去や改修に係る補助を行うことで、通学路や避難路などの安全を確保してまいります。
新市庁舎建設事業につきましては、本年12月をもって現市庁舎での業務を終了し、志木駅東口周辺のテナントビル等に仮庁舎として市役所機能を移転するとともに、2020年1月には現市庁舎の解体工事に着手し、2022年度の新市庁舎竣工を目指してまいります。
仮庁舎の配置については、マルイファミリー志木の8階フロアに住民異動手続を行う総合窓口課や税務関係窓口のほか、高齢者福祉や子育て支援を行う健康福祉部など、主に窓口機能を配置してまいります。
また、埼玉りそな銀行志木支店の向かいにあるEH第9ビルには、市民活動支援や環境行政などを行う市民生活部と、道路管理や建築指導などを行う都市整備部を、さらに、市民会館内には議会機能を、いろは遊学館内には、災害対応の中心となる防災危機管理課を配置してまいります。
一方、今回の機能移転により、市の中心に位置する市役所機能が志木駅東口周辺に集中することから、宗岡地区の行政サービスの維持を図るため、一時的に総合福祉センター内に出張所を設置してまいります。
市役所機能の分散に伴い、これまでに経験したことのない事態の発生も懸念されることから、移転後の市民の皆様への影響をしっかりとイメージしながら年末年始の機能移転に向けた綿密な計画を立てるとともに、全庁横軸で想定される課題を共有し、絶対にエラーが発生しないよう万全を期してまいります。
次に、財源確保の取組につきましては、全国から寄附をお寄せいただいた方々に対し、感謝の気持ちを込めて本市の特産品を贈呈する「志木市ふるさと応援資金」に新たに40品目以上のメニューを追加し、ラインナップを更に拡充したところであります。
お寄せいただいた寄附金は、志木駅東口駅前におけるベンチの設置やイルミネーションの更新、公園遊具の整備に充てるなど、寄附していただいた方々の想いに沿った事業へ活用するとともに、今後も本市の事業に共感し、支援してくださる皆様の温かな気持ちにお応えするため、魅力あるまちづくりを進めてまいります。
加えて、市税などの期限内納付を促進するため、新たに携帯電話へのショートメッセージによる期限内納付事前案内サービスを開始してまいります。
本事業では、残高不足等で口座引き落としができなかった納税義務者に対し、納付期限前に残高確認メールを送信することで、新たな滞納の発生を抑制するとともに、納税意識が希薄な滞納者に対しては、法に基づく適正な滞納処分を執行し、収入未済額の圧縮を図ることで、現年分及び滞納繰越分ともに県下40市中、10位内の収納率を目指してまいります。
次に、本市の将来を支える職員の人材育成につきましては、朝霞地区4市における人事交流において、若手職員の資質の向上や事務改善につながる大変有意義な成果が得られたことから、一般行政職だけでなく、幅広い職種へも拡大して実施することで、今後も4市における広域的な連携強化と職員資質の向上を図ってまいります。
また、市役所を利用された皆様が気持ち良く笑顔でお帰りいただけるよう、新たに選定した接遇標語であります「気づかいと おもいやりから 信頼へ」をモットーに、接遇の心構えや常日頃から心がけるべき行動をまとめた接遇マニュアルを活用し、業務で実践することで、市民に信頼される市役所づくりを実現してまいります。
以上、市政運営の基本方針と重点施策を述べさせていただきました。
月日が流れるのも早いもので、生まれ育った志木市の市政をお預かりしてから早5年、私はこれまでに民間保育園の拡大やデマンド交通の実施に加え、老朽化した公共施設の複合化による障がい者グループホームの誘致など、数々の改革を決断してまいりました。
改革を進める中では、時に厳しいご意見をいただくこともありましたが、真剣な眼差しで訴えかけるご意見の中にこそ、切実な現場の声や課題解決の糸口があり、全職員一丸となってこれにしっかりと向き合うことで、当初想定した以上の成果が導き出されたところでもあります。
私を挑戦へと突き動かす原動力は、市民の皆様の幸せのために、そして笑顔のために全力を尽くす、この信念であります。
この信念を胸に、さまざまな課題に真正面から向き合い、一歩ずつ歩みを進めることで、本市は確かな前進を遂げることができるものと感じております。
本年も、この歩みを決して止めることなく、大胆に、かつ確実に、平成のその先の未来に向けて、本市自慢の市民力を結集し、今後のまちづくりに全力を尽くしていく所存でありますので、引き続き議員各位、そして市民の皆様のご理解とご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
«危険なブロック塀等の撤去、改修へ... 第2期 2年目を振り返って»
日付:2019.02.19
カテゴリー: 政策・実績