芸術、食欲、ケアラーを考える秋
毎月発行している広報しきに連載中の市長コラム「以心伝心」に掲載された内容を掲載しています。
令和5年11月号掲載分
芸術、食欲、ケアラーを考える秋
11月に入り、秋も深まってきました。11月3日は文化の日。志木市では、11月3日から5日にかけて、「芸術の秋」にふさわしいイベントである、志木市民文化祭が総合福祉センターで、志木市美術展覧会が市役所庁舎で行われます。「芸術の秋」といわれるのは、今から100年以上前に発行された文芸雑誌において「美術の秋」という言葉が使われたことや、秋には二科展や日展、院展といった、大きな美術展が数多く開催されることがその所以とされています。イベントを通して多彩な力作や芸能に触れながら、志木の秋を満喫していただければと思います。
一方で、秋といえば、「食欲の秋」。市では、高齢者の食料品などの買い物支援と地域の見守りの促進に向けて、株式会社カスミと「買い物支援及び地域の見守り活動推進に関する協定」を締結し、市内の公共施設や介護施設などで食料品を販売する移動スーパーの運行が10月2日からスタートしました。しっかりとした食事でバランス良く栄養を摂ることで活力の向上につながり、心身機能の低下、いわゆる「フレイル」を予防することができます。移動スーパーでは、生鮮食品や惣菜、お弁当など品揃えも豊富ですので、ぜひ、栄養を意識しながらも買い物と秋の味覚を楽しんでください。
また、この秋、志木市はケアラーに目を向けています。介護は高齢社会と切り離せない課題であり、そこには、介護のために仕事を辞めざるを得ない「介護離職」や、自らも健康不安を抱える高齢者が同じ高齢者を介護する「老々介護」など、さまざまな問題もあります。加えて、18歳未満にもかかわらず、本来であれば大人が担うような家事や家族の世話などを日常的に行う、いわゆる「ヤングケアラー」と呼ばれる子どもたちは、近年、全国的な問題として取り上げられています。
なかには虐待という状況につながりかねない「ヤングケアラー」。こうした状況をしっかりと把握するため、現在、市内すべての小学4年生から中学3年生を対象に、各学校で「ヤングケアラー」についての講座を実施し、児童・生徒本人に、「日ごろの家族のお世話に対する負担感」などをアンケートを通して聞きながら、SOSをキャッチできる取組をスタートしています。今後は、アンケート結果を分析し、支援が必要とされる児童・生徒に寄り添いながら、学校や、関係機関と対応するとともに、子どもたちやご家庭の実情に応じた福祉サービスなどにつなげていきます。
埼玉県は11月をケアラー月間と定めています。ケアが必要な人がいれば、その人を支える人がいる。当たり前ではあるけれど大切なことを再確認しながら、自分の生きる力や可能性を最大限に発揮できる、そんなまちづくりも志木市は意識しています。