将来を見据えた公共施設マネジメント
毎月発行している広報しきに連載中の市長コラム「以心伝心」に掲載された内容を掲載しています。
令和3年2月号掲載分
将来を見据えた公共施設マネジメント
新しく年が明け、1か月が経ちました。令和3年の年明け早々から、市政に関するさまざまな課題と向き合っていますが、その1つに、公共施設の老朽化があげられます。
将来的には、本市も人口の減少や、さらなる少子高齢化が進むことが予測され、公共施設の利用状況も変化していくとともに、本市の公共施設の多くは、昭和40 年代の高度経済成長期を中心に建設され、老朽化が進んで、今後間違いなく、維持補修や更新経費が市の財政に重くのしかかってきます。
こうした状況の中、市では、平成27 年度に「志木市公共施設等マネジメント戦略」を策定し、計画的な公共施設の再整備を進めています。この計画では、財政的な試算を行っておりますが、将来を見据えたとき、税収も減少することが予測されることから、今の施設を同規模でそのまま建て替えた場合、財源が不足することが判明しています。財源が足りなければ、施設の閉鎖という選択に迫られますが、これは何としても避けなくてはなりません。
このため、再整備にあたっては、同じ場所に同じ規模のものを造り直すというこれまでの発想を変え、複合化や民営化といった手法が必要になってきます。これまでも、志木市では、福祉センターと総合福祉センターの複合化や館保育園の民営化を実施し、民間資源の活用や国からの財源を確保することで、確かなマネジメントを展開してきました。今後も、将来的な財政環境を見据えながら、市全体を俯瞰し、公共施設マネジメントを推進しなければなりません。
現在、市では、老朽化した市民会館と市民体育館の再整備の検討を進めており、再整備手法として、既存の建物を補強する「耐震化」、建物を取り壊して建て替える「建替え」、2つの施設を1つの施設として建て替える「複合化」の3つの手法を比較・評価しました。
この結果、より多くの市民の皆様にとって利用しやすい立地であるとともに、災害時における拠点施設としても活用することが可能となり、コスト抑制の観点からも、「市民会館用地に、2つの施設を複合化すること」が、最も適切かつ現実的な方法であると判断しました。
「公共施設が遠くなるので、複合化は反対」、「規模を縮小しないでほしい」という声も頂戴しておりますが、まちづくりは、今を見つめ、将来を考えることが大切な視点になってきます。100%の正解はありませんが、この度の複合化という判断は、持続可能な将来の志木市を見据えてのものであり、決して、志木市の市民体育館機能を無くすものではありません。施設の規模や設備については、市民の皆様のご意見を伺いながら、すべての市民の皆様にとって快適で使いやすく、また、市内全域から多くの人が集うことで、にぎわいづくりにもつながる…そんな夢のある施設が建設できるよう、知恵を絞っていく決意です。